この記事でわかること
- Copilot、ChatGPT for Excel、Codexそれぞれの役割と重なる機能
- Excel内の作業と、コード・CSV・JSONを含む作業の使い分け
- Codexから開いているExcelブックを操作するときの、ChatGPT for Excelの役割
- 料金・利用枠・追加クレジットを比較するときの考え方
ExcelでAIを使う選択肢は増えました。MicrosoftのCopilot in Excel、OpenAIのChatGPT for Excel、そして開発作業を担うCodexです。
数式の作成、表の整形、グラフ作成、データ分析といった基本作業は、CopilotとChatGPT for Excelで大きく重なります。
そのため、「どちらが高性能か」だけで選ぼうとすると、かえって判断が難しくなります。
実務では、次のように考えると整理しやすくなります。
- Excelの中で作業が完結するなら、まずCopilot
- コード、CSV、JSON、ログなどを含む仕事になったら、Codex
- Codexから、いまExcelで開いているブックを直接操作したいときは、ChatGPT for Excel
本記事では、公式情報と実機検証をもとに、三者の役割、料金、そしてChatGPT for Excelを使う意味を整理します。
CopilotとChatGPT for Excelで共通してできること
Copilot in ExcelとChatGPT for Excelは、どちらもExcelブックを自然言語で扱うための機能です。
基本的な作業は大きく重なります。
| 作業 | Copilot | ChatGPT for Excel |
|---|---|---|
| 既存ブックの内容を読む・説明する | ✅ | ✅ |
| シート・セルを更新する | ✅ | ✅ |
| 数式を作成・修正する | ✅ | ✅ |
| 表を作成し、データを整形する | ✅ | ✅ |
| 書式変更、並べ替え、フィルター | ✅ | ✅ |
| グラフを作成する | ✅ | ✅ |
| 複数シートを分析する | ✅ | ✅ |
| Webの情報を取得して使う | ✅ | ✅ |
| PivotTableを作成する | ✅ 公式に対応を明記 | ✅ 実機検証で作成を確認 |
| VBA・マクロを扱う | △ 公式の編集対応は要確認 | △ 完全対応ではないと明記 |
Copilotは、数式、グラフ、PivotTableの作成、書式設定、ブックへの直接変更を公式に案内しています。
ChatGPT for Excelも、複数タブ、数式、参照、前提条件を含むブックを、自然言語で作成、更新、説明できるとしています。
今回の実機検証では、ChatGPT for Excelに依頼してPivotTableを作成できました。
ただし、OpenAIの公式ドキュメントでは、PivotTable作成が対応機能として明示されていません。実用上は作成できたものの、仕様として常に保証される機能とまでは書かない方が安全です。
どちらを使う場合も、数式、計算結果、変更されたセルは確認してから保存・共有する必要があります。
Copilotにしかできないことはある?
「ChatGPTでは絶対にできない」と断定できる機能を列挙するのは難しい状況です。
理由は二つあります。第一に、両者の対応範囲は継続的に更新されます。第二に、公式ドキュメントに記載がないことは、技術的に不可能であることを意味しないからです。
ただし、CopilotにはExcel内での使い方として、公式に明示された特徴があります。
| 項目 | Copilot | ChatGPT for Excel |
|---|---|---|
| 操作モード | ✅ Edit、Plan、Chat | ❌ 同名の3モードはない |
| モバイル | ✅ iPhone・AndroidはChatモード対応 | △ 利用環境により確認 |
| Excel内のモデル切替 | ✅ Premiumまたは商用契約で条件付き対応 | ❌ Claudeへの切替機能は確認できない |
| Excelネイティブ機能 | ✅ 対応範囲をMicrosoftが明示 | △ 対応範囲の明示は機能ごとに異なる |
Copilotの強みは、Excelのネイティブ機能をExcelの画面の中で操作することにあります。
たとえば、作業前に計画だけを立てるPlan、ブックを直接編集するEdit、回答をチャットに留めるChatという使い分けは、Excelで作業を進める人にとって分かりやすい設計です。
ただし、これはChatGPT for Excelでは作業できないという意味ではありません。
「Excelに最適化された操作体験として、Copilotに明確な特徴がある」と捉える方が正確です。
それでもGPTを使うメリットは、Excelの外まで作業を広げられること
ChatGPT for ExcelをCopilotの上位互換として見る必要はありません。
価値がはっきり出るのは、Excelが一つの成果物ではなく、より大きな仕事の一部になったときです。
たとえば、売上集計がおかしい原因を調べる仕事を考えます。
- Excelの数式と集計表を確認する
- 元データのCSVを確認する
- APIレスポンスのJSONと突き合わせる
- 集計処理をしているPythonやTypeScriptを修正する
- 修正後、Excelの数式、値、グラフも更新する
これは単なるExcel編集ではありません。
コード、ローカルファイル、データ、Excelを一つのタスクとして扱う開発作業です。
OpenAIは、ChatGPTデスクトップアプリのCodexが、ChatGPT for Excelアドインを通じて、開いているExcelブックのシート、数式、値、書式、グラフを直接更新できると案内しています。
さらに、利用者が渡したコードやローカルファイルも同じタスクに含められます。
ここでのChatGPT for Excelは、Excel用のチャットAIというだけではありません。
Codexと、現在開いているExcelブックをつなぐ接続口としての役割があります。
ChatGPT for Excelが必要になる、もっとも明確な場面
Codexに、現在Excelで開いているブックを直接操作させたいときです。
たとえば、次のような依頼ができます。
このExcelの集計結果がおかしい。sales.py、sales.csv、response.jsonを確認して原因を特定してください。プログラム側に問題があれば修正し、Excel側に問題があれば、いま開いているブックの数式とグラフも修正してください。
このように、Excelとコード・ファイル群を同じ作業として扱うことが、Codexを使う意味です。
一方で、ChatGPT for Excel内の会話は通常のChatGPT会話履歴とは別の体験です。
Excel内で始めた会話を、そのままCodexへ完全に引き継ぐための機能として捉えるべきではありません。
実務での使い分け
| 作業 | Copilot | ChatGPT for Excel | Codex |
|---|---|---|---|
| 数式、表、書式、グラフ、集計 | ✅ 第一候補 | ✅ | △ |
| PivotTableの作成 | ✅ 公式対応 | ✅ 実機で確認 | △ |
| Excel内の分析や計画 | ✅ 第一候補 | ✅ | △ |
| ExcelとGoogle Sheetsを同じAI環境で扱う | ❌ | ✅ | △ |
| ChatGPTに接続したAppsのデータを使う | ❌ | ✅ | ✅ |
| Excel、CSV、JSON、ログ、ソースコードを突き合わせる | △ | △ | ✅ 第一候補 |
| Codexから開いているExcelを直接更新する | ❌ | ✅ 接続口 | ✅ 実行主体 |
一般的なExcel作業では、Copilotから始める判断が合理的です。
一方、Excelが開発、データ処理、外部ファイルの調査を含む仕事の一部になった瞬間は、Codexを起点にする価値が高まります。
そのとき、開いているExcelブックを直接扱うためにChatGPT for Excelを使います。
料金とクレジットは「月額」と「追加利用」を分けて考える
料金を比べるときは、月額または年額の契約料金と、AI機能の利用枠・追加クレジットを分けて見ることが大切です。
| 項目 | Copilot in Excel | ChatGPT for Excel |
|---|---|---|
| 利用に必要な契約 | 対象のMicrosoft 365契約、Premium、または商用Copilot契約 | Free、Go、Plus、Pro、Business、Enterprise、Edu、K-12 |
| 個人向け料金の例 | Personal:年額21,300円 Family:年額27,400円 Premium:年額32,000円 |
Freeから利用可能 有料プランの料金は契約画面で確認 |
| 基本の利用枠 | Personal・Familyは月60 AIクレジット | Free・Goは制限付き Plus・Proはエージェント利用枠 |
| 利用枠の共有先 | Excel専用ではなく、Wordなど対象のMicrosoft 365・Windowsアプリと共有 | Plus・ProではCodex、ChatGPT Workなど対象のエージェント機能と共有 |
| 追加利用 | Premiumは標準上限を超える広範な利用が案内されている | 対象プランでは、利用枠到達後に追加クレジットを購入可能 |
| 回数の考え方 | 機能・利用条件により変わる | ブックの規模や作業の複雑さにより変わる |
Microsoft 365 PersonalとFamilyでは、Microsoft 365アプリ内のCopilot機能に月60 AIクレジットが割り当てられます。
このクレジットはExcel専用ではありません。Wordなどを含むMicrosoft 365およびWindowsアプリの対象AI機能で共有されます。
ChatGPT for ExcelはFreeでも利用できます。ただし、FreeとGoは利用量に制限があります。
PlusとProでは、Codex、ChatGPT Work、ChatGPT for Excelなどの対象機能が、共有の利用枠・クレジットプールから使われます。
大きなブック、複数ステップの編集、複雑な分析ほど、より多くの利用枠を使う可能性があります。
含まれる利用枠を使い切った場合は、対応プランで追加クレジットを購入できます。OpenAIは、ChatGPT for Excel/Sheetsの標準的なタスクについて、1メッセージあたり5〜20クレジット程度と案内しています。
ただし、実際の消費量はタスクによって変わります。「月に何回使える」と固定回数に換算して判断するのは避けた方がよいでしょう。
まとめ
CopilotとChatGPT for Excelは、基本的なExcel作業では大きく重なります。
数式、表、書式、グラフ、集計が中心なら、まずCopilotから始めるのは合理的です。
PivotTableについても、Copilotは公式に対応を明記しており、ChatGPT for Excelも今回の実機検証では作成できました。
一方、Excelがコード、CSV、JSON、ログ、外部システムとつながる仕事の一部になったら、Codexの価値が高まります。
- Copilot:Excelの中で仕事を終えるためのAI
- Codex:コードやファイルを含む仕事を進めるAI
- ChatGPT for Excel:Excel内のAIとして使えるほか、Codexを開いているExcelへ接続する橋